<装置の目的>
2015年頃から新型のバイクに純正搭載されてはじめているクイックシフター(別名オートシフター)は、変速時のクラッチ操作を必要としないことで、ロングツーリングを楽にする装置として注目されています。発進・停止時にはクラッチ操作が必要ですが、ツーリング時のクラッチ操作回数を劇的に減らせることで、疲労軽減と操作トラブル回避による安全性向上にも効果が期待できます。
クイックシフターは、過去からレース界で多く利用されている装置です。仮にアクセルを戻さない一回のシフトアップ操作で0.1秒の遅れがあると、一周40回の操作を累積しただけでも一周4秒の差が出てしまいます。装置が無ければ、ほぼ勝負にならない必須装置であると言えます。
<オートブリッパー>
エンジンの電子制御化とスロットルバイワイヤによって、シフトダウンにも対応するオートブリッパー機能も追加されはじめました。純正制御によるオートシフト機能は、若干の制御遅れを感じるマイルドな操作感になっていますが、公道利用時の安全の観点からは致し方無いのかもしれません。特に回転合わせを自動制御するオートブリッパーは、純正車体にその制御がある場合のみと考えた方が賢明だと言えそうです。
<検出技術>
シフト操作を検出する一般的なセンシング方法には、歪み式、磁気式、スイッチ式があります。
1)歪み式
シフト操作荷重を精密に検出しますが、高価でデリケートなので研究用に多く用いられます。電源が必要で、アンプ回路を使って荷重値をアナログ電圧で出力するものです。シフト操作時に伸縮がほぼ無くダイレクトなシフト操作感ですが、故障し易いので注意が必要です。
2)磁気式
ホール素子で磁場を検出するもので、耐久性が高く近年の市販車で多く用いられています。電源が必要で、磁気センサーで磁石の移動量を電圧で出力します。シフト操作時にフニャフニャした感触があり、ペダルの操作角度が大きくなり違和感に感じる事がある。
3)スイッチ式
機械式スイッチによる検出で、過去から多く利用されています。電源を必要とせず、内蔵バネの伸縮で機械スイッチを押す構造なので構造はシンプルです。安価ですが機械式スイッチ特有の接点不良や、耐久性に難があります。
他にも磁気スイッチ式や、取付けネジに掛かる軸力を検出する圧力検知式があり、それぞれに長所短所があります。
<磁気式シフトセンサーの普及>
国内4社はシステムを搭載する新型車のほぼ全てで、磁気式のシフトセンサーを採用しています。従来の磁気強度から磁場移動を検出するホールICに技術進化した事で、高精度で且つ熱変動にも強くなりました。センサー部は耐久性に優れ検出性能も向上したため、一般の市販車に普及が進んでいます。
しかし磁気式は、シフト操作の荷重値を検知するために、ある程度のバネストローク量が必要になります。そのためシフト操作時にペダルがフニャフニャした感触になるだけでなく、シフトペダルの操作角度が広がり疲労に繋がります。真にこの部分が、磁場設計と構造設計の技術力の差であり、各社製品の差になる部分になります。
<SUGAMECシフトセンサーの利点>
・高耐久性と安定した検出性能を得るため、最新の市販車と同じ磁気式のセンシング技術を採用しています。
・磁場設計の最適化と検出部の小型化設計で、ストローク量を短縮してフニャフニャ感を改善しています。
・内蔵バネの使用域を選んで、ライダーの好みに合った操作感触をセッティング出来ます。
・使用頻度が高い装置なので、安心して利用出来る様に分解メンテナンスを可能にしています。
・内蔵するバネや部品を交換可能にすることで、検出する操作荷重を選択可能にしています。
(内装部品の選択で、正シフト、逆シフト、また純正シフトセンサーからの入れ換えも可能)